・授業レポート

2021年度 第5回授業・修了式

「脳外科医になったら~脳神経のしくみと病気、手術のお話~

 3月5日(土)14:00~16:30  横浜市立大学 金沢八景キャンパス カメリアホール

 講師:山本 哲哉やまもと てつや)先生 

    (横浜市立大脳神経外科学主任教授・同大附属病院副病院長

  

 2021年度最後の授業は、脳外科医の仕事について学びました。病院には対象とす

            る患者や身体の部位、病気・けがの種類よってさまざまな診療科が置かれていますが、

            山本先生の専は脳神経外科。脳・脊髄(せきずい)・神経を診断し治療する診療科で、

            脳卒中などの脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍(のうしゅよう)などの診察や手術を行っ

            ています。

             この日の授業では、学生たち自らが“医師”になり、山本先生の指導のもとで神経の障

            害を調べる検査の実習を行い、患者の症状から病気の原因を探る“診断”にも挑戦しまし

            た。

                         ☆☆☆   ☆☆☆  ☆☆☆   ☆☆☆

 

          ――脳卒中のサイン「FAST

          授業ではまず、脳卒中を見極める「FAST(ファスト)」というキーワードを教わり

         ました。F」はフェイス(Face・顔)、「A」はアーム(Arm・腕)、「S」はスピ

         チ(Speech・話こと)。口がへんにゆがんでいないか、左右どちらかの腕に麻痺

         (まひ)()はないか、言葉を普通に話せているか――をみます。この「FAS」の症状がひ

         とつでも出ていれば脳卒中の可能性が高いということになります。最後の「T」はタイ

         ム(Time・時間)。これらの症状があったら「すぐに病院へ」ということを警告して

         います。発症から治療開始までの時間が重要なのです。       

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2021年度 第4回授業・入学式

「落語の世界~想像力とコミュニケーション~」

 11月13日(日)14:00~16:00  横浜市立大学 金沢八景キャンパス カメリアホール

 講師:立川 晴の輔たてかわ はれのすけ)先生 (落語立川流 立川志の輔一門)

  

 第4回授業は、新型コロナウィルスの感染が落ち着いたことを受け、今年度初めて対面

式でわれました。

 講師にお迎えしたのは落語家の立川晴の輔先生。出囃子に乗って登場し、教壇ならぬ

座から、落語の醍醐味や楽しみ方について解説しました。学生たちは開始早々から軽

妙な語り口に引き込まれ、本格的な古典落語の実演や質疑応答の掛け合いを交えながら 

進められる授業に目も耳も釘付けに。会場は終始大きな笑い声に包まれました。落語を

            楽しむには「自ら進んで聞こうとする力」と「想像力」が大切ということを実際に体験

                                 し、「コミュニケーションをとるのにも、同じく『聞く力』と『想像力』を働かせて」

                                 という立川先生の言葉に、学生たちも大きくうなずいていました。

             対面ならではの、にぎやかで活気あふれる授業でした。

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2021年度 第3回授業

「南極から ちきゅう を観る」

 9月26日(日)14:00~16:00  Zoom(オンライン)

 講師:永延 幹男(ながのぶ みきお)先生 (自然哲学者)

 

地球はいま悲鳴を上げています。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの濃度が高まって地球の 

表面温度が上がり、その影響で生態系が乱れ、海面が上昇し、異常気象が多発しているのです。

            地球に暮らす私たちにとってもっとも深刻で、かつ身近な問題です。第3回の授業は、南極海で

            生物資源の調査研究を続けておられる永延先生をお迎えし、南極の自然環境の変化について、た       

            くさんの写真や図表もまじえてわかりやすく教えて頂きました。南極を観察することで地球全体        

            の環境が直面している課題がよく見えてきました。そして地球を救うために自分たちに何ができ 

            るのか、そのヒントを少し見つけることもできました。

            以下、講義の概要を紹介します。

 

☆☆☆   ☆☆☆  ☆☆☆   ☆☆☆

 

  ――なぜ南極へ

  最初に、なぜ南極に行くことになったのか、お話しします。私の出身地は福岡県八女地方といういなかのまち

  です。小学4年生のころ、友達とお金を出し合って市の地図を買い、それを頼りに自転車で知らない場所をあ

  ちこち探検して回りました。とても楽しく、ワクワクする体験でした。

 このワクワク感が忘れられず、高校では山岳部に所属、大学に入ってからはボルネオや台湾、南太平洋などを

 訪ねるようになり、どうせなら地球一周をということで出かけました。そんなことをしているうちに「地球は

 案外狭い。もう行くべきところはないのでは」と思いかけたんです。でもその時、「待てよ、南極があるな」

 と、「南極にはまだ知らない自然がいっぱいあるはずだ」と気づいたんです。小学生の頃に味わったワクワク

 感を追っかけていたら、いつのまにか南極に辿り着いたというわけです。

 ワクワクする気持ちと探究心がいかに大切かということです。

  南極にはこれまで9回行きました。観測を続ける中で、3回目か4回目ぐらいから「どうも地球はおかしなこ

  とになっているぞ」ということに気がつき始めました。

 

  ―南極の歴史

  南極は2億年前には他の大陸とひとつながりでした。その後、いくつかに分かれて移動していきますが、南極

  大陸は1億年前はまだ暖かく、7千万年前には恐竜がいたことがわかっています。

 南極点に初めて到達したのはアムンゼンという人で1911年、今からたった110年前のことです。氷や暴

 風圏という自然環境が人を阻み、発見と到達を遅らせたのです。

  南極は一言でいえば、寒いけれど豊かなところです。現在は最も厚いところでは4000メートルもの氷に覆

  われています。南極の氷が全部溶けると、世界の海面は60メートル上昇すると言われています。みんなの

  んでいる横浜も沈んでしまうのです。

 

  ――いま、南極は

  私はナンキョクオキアミとその環境生態の研究をしています。

 南極海ではオキアミを魚が、魚をペンギンが、そしてペンギンをシャチが食べるというオキアミを中心にした

 食物連鎖ができていてそれが生態系を支えています。南極海には5種類のオキアミがいますが、その中でナン

 キョクオキアミは大陸を囲む主に水温0度位の冷たい海中に生息しており、他の近縁種のオキアミはそこから

 バームクーヘン状に異なる水温帯に棲み分けて分布しています。そのナンキョクオキアミが近年減ってきてい

 るのです。

  その要因は地球の温暖化の影響と考えられています。2020年は記録を取り始めてから最も暑かった。地球

  の気温は急速に上昇しているのです。南極はどうかというと、南極点では過去30年の間に世界平均の3倍も

  温暖化が進んでいるというデータがあります。その影響で棚氷の崩壊が進んでいます。温暖化によるものか

  然循環によるものかまだはっきりしていませんが、2000年には東京都の面積の5倍もある棚氷が割れまし

  た。2014年には突然、海氷面積が激減しました。

  海水温が上昇してナンキョクオキアミが減ると南極の生態系に大きな影響を与えます。氷が溶ければ皇帝ペン

  ギンは滅んでしまいます。地球の海水は、冷たい水が下に沈み込むことで1500年かけて循環しますが、

  極の温暖化はこの海洋大循環の流れをも変えてしまいます。

 

  ――では、どうする?

  南極を探ることは地球を観察することにつながるのです。ほかにも、キリバスなどの海面上昇や珊瑚の白化、

  シベリアの永久凍土の融解などなど、世界中から警告の声が上がっています。今年の8月にはICPP(国連気候

  変動に関する政府間パネル)が「地球温暖化は人間の活動が原因」とする報告を出し、国連事務総長が「人類

  への赤信号」と発言しました。

  私たちはこの問題にどう向き合い、どうやって温暖化を防いでいけばよいのでしょうか。とても難しい問題で

  すが、みなさんと共に考えていきたいと思います。

 

☆☆☆   ☆☆☆  ☆☆☆   ☆☆☆

 

 

 永延先生の講義はここでいったん終了。このあと学生たちは4グループに分かれてそれぞれ質問をまとめると

 ともに、講義を聴き終えての感想や温暖化防止のために自分たちに何ができるかなどについて話し合いました。

 

 たくさんの質問が寄せられましたが、多かったのは①南極に行って一番驚いたことは②南極での食事はどんな

 ものか③縄文時代も海水面は今より高かったと思うが現在と状況はどう違うのか④温暖化を防ぐためにはどう

 すればよいか――など。

 永延先生は、①氷山に圧倒された。こんな大きなものが海に浮かんでいるのかとびっくりした②観測船には

 門のコックさんが5人位乗り込んでいるのでホテル並みに立派な食事が楽しめる③大昔と違い、今は数年、

 十年の間に早いスピードで上昇していることが問題④CO2ゼロを目指す取り組みや、SDGs(持続可能な開発

 目標)の17の目標を達成することが重要――と答えられました。

 

 また、学生たちからは「南極で起きていることがよくわかった」「南極の氷が溶けると横浜も海に沈んでしま

 うことを初めて知った」「私たちの生活で地球が壊れているんだと思った」「公共交通機関を使うなどして

 CO2を減らさなければ」「SDGsに世界中の全員で取り組まなければ」などの感想や意見が出されました。

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2021年度 第2回授業

「原三溪さんを知ろう!~いまも横浜に生きている~」

 7月11日(日)14:00~16:00  Zoom(オンライン)

 講師:猿渡紀代子(さわたり きよこ)先生

 (原三溪市民研究会 顧問)   

 

 1868年8月22日に、岐阜県岐阜市の豪農の長男として生まれた青木富太郎(あおきとみたろう)

 さん。のちに『原三溪(はらさんけい)』というお名前で知られることになります。

 その原三溪さんを知ろう!

 

             第一章 原三溪さんの人生と仕事

             第二章 原三溪さんがつくった三溪園 

               第三章 原三溪さんと美術コレクション~日本画など~

 

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2021年度 第1回授業

 

「ウィルスとワクチン」 

 2021年6月6日 Zoom(オンライン)

 

  講師:榊原 洋一(さかきはら よういち)先生 

 (チャイルドリサーチネット所長,お茶の水女子大学名誉教授,日本子ども学会理事長)

     

 学生62名(4年生29名、5年生15名、6年生18名)参加

 

  

  1. 目で見ることができないほど小さいウィルスはなぜ怖いの?

  人の体に対するウィルスの大きさは『地球』に対する『人間』くらい小さい。

人の体内に入ったウィルスは、一度感染するとどんどん増え、何兆、何十兆にもなる!

そして、ウィルスの遺伝子は不安定で、すぐに変わってしまう性質がある。2週間に一回位は新しく変異しているが、

変異しても弱いもの、変わらないものもある。

2. 細菌(さいきん)とウィルスによる病気の違いは?

  似ているようで違う細菌とウィルス。姿かたちも違うけれど、一番大きい違いはウィルスには細胞(さいぼう)がなくて、

  増え方も違う。ウィルスによる病気と細菌による病気の種類の中で、以前はコロナウィルスよりもっと怖い病気があった。

  一番怖いのは狂犬病で致死率は100%。現在はワクチンや治療薬ができてほとんど怖い病気ではなくなっている。

3. コロナウィルス感染症(COVID-19)ってどんなウィルス?

まだわからないことが多いけれど、分かってきたこともある。

子どもは大人に比べて重症化しないと言われ、死亡例もほとんど報告されていない。子どもの細胞は大人にくらべて未熟

だということがわかってきた。コロナウィルスが侵入するACE受容体が未発達なので感染しにくいが感染しても大丈夫と

いう訳ではない。症状は何にも出ない人もいれば、ちょっとした風邪の症状や、重くなると、呼吸困難で肺炎がおきて

人工呼吸器をつけたり、人工心肺エクモというものを取り付けないといけなくなる。今一番の対策は、ワクチンをうち

感染しても重症化しないようにすること。また感染しない、感染させないためにマスクをして防ぐことが大事。

 

【学生の質問!】

 「新型コロナウィルスはなぜ突然流行したの?どこから発生したの?」

 (先生)中国武漢の研究所で、元々あった毒性の弱いコロナウィルスが、動物の体の中で自然に変異したか、人工的に変異   

     させられたかのどちらかで、感染力が強い・毒性の強いウィルスに突然変異がおき広がったと考えられている。

 「ワクチンの効果は変異株に対して変わる?」

 (先生)効果が出たかを見るには2つの方法がある。1つは実際に1000人くらいに打ってみて、打たなかった人との違いを 

     見る。もう1つは、注射した後にその人の血液を採取して、ウィルスに対抗する「抗体」について調べる。

     ワクチンを打った人の体の中には、この変異株を殺す「中和抗体」ができていることがわかっているので、変異株

     にも効果はある。

 「なぜ子どもはワクチンを打たないの?」

 (先生)理由のひとつは、まず医療崩壊をさける目的。二つ目は、そのために重症化しやすい老人から優先に打つため。

     子どもは感染しても死亡例がほとんどないため、「強い人は待っていて」ということ。医学的には子どもにもワク

     チンの効果があるのはわかっている。

 「ワクチンは何人で、どれくらいの期間で作られるの?」

 (先生)種類によって作り方が全然違う。今までのワクチンは45年かかり、手間もかかっていた。ファイザーやモデルナ

     社のメッセンジャーRNAワクチンは、全部化学合成によって遺伝子を作る。バイオタンクの中でどんどん作ること

     ができるので、もう十何億人分くらいのワクチンができている。高度な技術がいるが、時間的には早くできる。

 「ワクチンの副反応はどのくらい?」

 (先生)副反応は大きく2つ。1つは打った後に打った場所が痛くなる軽い副反応で、2人に1くらい出る。また、2回目

     を打つと50%くらいの人に熱が出る。これは体の中で「抗体」というものが作られる時の反応なので、これ自体

     は悪くない。皆さんが一番心配している「アナフィラキシー」という副反応は、ワクチンそのものではなくて、ワ

     クチンを溶かした液の中に安定剤として入っている「ポリエチレングリコール」という化学物質による。これで以

     前アレルギー反応を起こした人の12万人に1人くらいにアナフィラキシーが出ます。でも、そこにお医者さんが

     いて、治療する薬があれば、命に関わることはほとんどありません。注射をして大体515分くらいの間に咳が出

     て、ゼーゼーして、気持ち悪くなったり、血圧が下がったり、意識を失うことがある。

  この時にアドレナリンを注射すると、ほぼ100%、元に戻ります。アナフィラキシーで死んでしまう多くの事例が、山の

  中でスズメバチに刺され、周りにお医者さんもいない、病院もない、薬もない場合。食物アレルギーのある人は「エピペ

  ン」と言って自分で注射できるものを持っていて、これを打てば元に戻る。

  また「血栓ができやすくなる」という心配もありました。血栓症は、ワクチンの開発をしている人たちが、ワクチンのど

  こが血栓を起こしやすくしているのかを研究して、この間その論文がでた。それに基づいてワクチンも少し変えるかもし

  れないということを言っている。

  今ある他のワクチンにも副反応はある。また「ワクチンを打った人が1週間以内に亡くなった」という怖い情報が出てき

  たりするが、その中にはたまたまワクチンを打った1週間後に別の原因で亡くなった人も含まれていることがある。

  正しい知識を持って、正しく怖がり、正しい判断をすることが大事。

 「人に良い効果をもたらすウィルスはありますか?」

 (先生)ウィルスの中には人に感染しても人に害を与えないものはあります。感染して良い効果をもたらすウィルスは知られ

     ていませんが、大昔に人に感染した時に、ウィルスの遺伝子(DNA)の一部が、人の遺伝子の中に入り込んで、良い影響

     を与えいる例はあります。実は人間の遺伝子全体の8%は、大昔(何百万年以上前)に人の祖先に感染した時に人の遺

     伝子に潜り込んだウィルスの遺伝子の一部です。例えば赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時に、赤ちゃんを守る働き

     をしている遺伝子は、こうした大昔のウィルスの遺伝子の一部であることがわかっています。

 「人によってワクチンの効果は違うのですか?」

 (先生)ワクチンを打つと、体の中でリンパ球という白血球の仲間が、抗体を作ったり、ウィルスを殺す働きのある特殊な  

     リンパ球に変化しますが、その量には個人差があります。そのため、作られた抗体の量が少ないと、ワクチンを打

     っても感染予防の効果がなかったり、少なかったりすることはあります。新型コロナのワクチンの場合、十分に抗

     体ができない率は25%くらいになります。安全で効果があるとされている麻疹のワクチンでも、抗体が十分で

     きない率は5%くらいあります。

 

たくさんの質問にていねいに答えていただきました。

榊原洋一先生、ありがとうございました!! 

 

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2020年 リモート学部〈第一章〉オンライン授業

通常の授業ができなくても、今できる“学び”を提案する「リモート学部」
初めてのZoom使用にスタッフも四苦八苦!!
連日画面に集まって準備を重ね、毎回手探りの授業は

無事5月に4回を終えました。


5/9    第1回 ”麦畑deムギトーーーク”
5/16  第2回 ”麦畑de水トーーーク”
5/23  第3回 ”みんなde水マップつくろーーー!”
5/30  第4回 ”わたしたちde水をつなごう!!!”

 

毎回変わるタイトルからもわかるように、子ども達の

言葉から次は「何する?」
20人を超える学生が参加し質問や意見が飛び交いました。


ご協力頂いた横浜市立大学 木原生物学研究所 坂 智広(ばん ともひろ)教授の麦畑ライブ中継から始まり

テーマはムギから水へ。みんなの「水」マインドマップ作成。

そして最後に子ども達から出てきた言葉は・・・


「水から全て人につながっている」「水なしでは生きられない」

「水を考えると世界が変わるかも」「私たちの技術の進歩が他の生き物にとっては悪影響」


大切な「水」を守るために私たちができること
まずは問題を知ること。話すこと。
新しい形の学び合いは第二章へと続きます。